ワードサラダとシュールレアリスム

どうも、飛鳥色です。

皆さんは「ワードサラダ」という単語はご存知でしょうか。端的に言うと意味をなしていない文字列のことなのですが、ネット上では主にスパムブログなどで使われる、自動生成された文章のことを指すらしいです。今回は、広義の方の「意味をなさない文字列」という意味で使っていきたいと思います。

具体例を調べるとわかりますが、ワードサラダは度々面白い文章が出来上がります。Twitterでは、フォロワーのツイートから自動生成された文字列を生み出す「しゅうまい」というアカウントがあり、人気を博しており、また、映画「パプリカ」に登場する所長が発した一連のセリフ(いわゆる「オセアニアじゃあ常識なんだよ!」)はコピペ化され親しまれています。どちらも常人が思いつかない突飛な文章という特徴があり、意外性が面白さに繋がっているのでしょう。

さて、そんなワードサラダに類似した文章を作り上げるのが、シュールレアリスムにおける自動筆記です。無意識の顕在化を求めるシュールレアリスムでは、何も考えずに文章を書くという自動筆記が考案されました。意識を介在しないという点でいえば、ワードサラダは現代の自動筆記といっても過言ではないでしょう。

当初の目的は違いますが、結果としてシュールレアリスムの精神が現代のインターネットに現れ、それが概ね好意的に捉えられているのは中々興味深いです。検索エンジンの進化によりワードサラダを使ったスパムブログは絶滅しつつありますが、前述のようにワードサラダは現在も人の目を惹き付けています。これから深層学習が進んでいけば、いつかはAIが自然かつ突飛な文章を書けるようになるかもしれません。現状のAIでは厳しいでしょうが、いつか「完全に意識が介在していない文章」を読める日が来るかもしれませんね。